2026-03-25

学生スタートアップCTO。そのまま社長やってます。

#スタートアップ #経営 #自分語り

「会社やめたら?」

資金調達で話した事業計画がうまくいかない時。キャッシュアウト間近な時。受託開発で食い繋いでいる時。キャッシュフローポジティブでも事業が伸びない時。周りからそう言われました。自分でも、何度もそう思いました。

意義はあると信じている。
でも、売れない。形にならない。
技術的にも事業的にも難しいことをやっているのはわかっている。
それでも、難しさこそが自分の優位性であり、アイデンティティでもあった。
だから、捨てられなかった。

投げ出すタイミングなんて、いくらでもありました。
それでも、自分は会社を続けることにしました。

幅野といいます。METRICA株式会社で代表をやっています。
普段こういう自分語りみたいなことはあまりしないタイプですが、
会社の方針が大きく変わったので、今の気持ちをnoteに書き残しておこうと思います。

自分なりの解を出す

まずは、自分がどんな人間なのかを少しだけ。
昔から、自分は「自分なりの解を出す」ことに強く惹かれてきました。

大学時代は、Kaggle、CTF、Web開発、機械学習論文の再現実装など、とにかく手を動かして技術を掘るのが好きでした。

技術力を上げて、ソフトウェアを作り続ける。その結果として社会に価値を出し、自分も食べていける。そんなキャリアを思い描いていました。

最近でも、Openclaw などのOSSに Pull Request を出したり、妻への罰金システムとしてブロックチェーンのスマートコントラクトを書いたり、とにかく新しい技術に対して「何が面白いか」「どう活用できるか」を気づいたら考えてしまいます。

ジムサボったら、妻に送金される罰金システムを作った妻への罰金システムの話

METRICA創業

そんな自分が選んだファーストキャリアは「学生スタートアップCTO」でした。

大学時代に医療×AIスタートアップとしてMETRICAを創業しました。理由は本当に薄く、「優秀な先輩に誘われもっと成長できそうだから」に尽きると思います。

ただやっていくなかで医療・スタートアップという意義を感じ、在宅でできる透析「腹膜透析」をもっと広めようと、資金調達をし、リスク管理をエッジAIで解析するシステムを作って、医療機器化を目指していました。社会的意義も大きいし、やりがいのある事業でした。

創業後は、CTOとしてプロダクト開発全般を担いました。
深層学習モデル搭載IoTデバイス、Web、モバイルアプリ、AI開発まで、本当に端から端までやったと思います。
コードだけ見ていても医療の現場はわからない。そう思って、毎週病院に通い、使われ方や運用の制約を見ながら改善を重ねました。

社会実装はなかなか難しく、当初想定していた形では進みませんでした。医療分野への横展開も考えましたが、突破口は見えませんでした。
組織の縮小も経験し、事業の難しさと向き合うことになりました。なんとかキャッシュアウトを回避するために選んだのは、自分の土俵であるソフトウェア開発などのITソリューション提供でした。

生成AIでエンジニアのゲームルールが変わった

それでも、自分がMETRICAの代表を続けようと決めた要因は、大袈裟じゃなく、ソフトウェア開発の「ビジネスとしてのゲームルール」が生成AIによって変わったことでした。

「怠惰になることを欲していた我々エンジニアが作ったAIが、一番仕事を減らすのは、まさかの自分たち自身だった」

皮肉かもしれません。嬉しいエンジニアもいれば、悲痛に思うエンジニアもいると思います。つい数年前まで、『黒い画面でカタカタする』ような、プログラムを書くことが自分の価値であり人生的に変わらない働き方だと思っていたのに、そのキャリアがいつまで続くかわからなくなりました。

生成AIによって、ソフトウェア開発の現場では「何を人がやり、何をAIに任せるのか」の最適解がまだ定まっていません。
作るスピードは上がった一方で、品質、運用、保守、責任分界はむしろ難しくなっている。
そんな過渡期だからこそ、技術を踏まえて経営の意思決定ができる人間の価値は、むしろ上がると感じています。

そして、投資家に応援してもらいながら自分で意思決定できる立場にいる今は、エンジニアとしてもかなり面白い位置にいるのかもしれないと思いました。
ここまでボラティリティの高いタイミングで、自分がどう生き残るのかを考えながら挑戦すること自体が、今の人生で一番向き合う価値のあるゲームなのかもしれない。そう思うようになりました。

その結果、自分の強みを活かせるよう、医療だけでなくさまざまな業界で自分の技術力、プロダクト開発の経験を提供できるよう事業方針を転換しました。

スタートアップの「バグ」として生き残る

正直な話、これまでの投資家に対して「何かを返したい」という「正義感」や「責任感」はあると思います。

人によっては「スタートアップとして不誠実な動機」だと思う人も多いと思います。
ただ、「逆張り・逆境・ピンチはチャンス」みたいな漫画で出てきそうな状況に自分は動機づけられ、ある種合理化して生きてきました。

そして何より、単純な義理だけで続けるわけではなく、何もないサバイバルを勝手に応援してくれて、ある意味で自分に責任感を持たせてくれる。そういう存在が、今の自分がインパクトを出せるモチベーションとして必要なのではないかと思いました。

立派な理念だけでここに立っているわけでもない。
大きな成功も挫折もなく、大義もない。
立派なビジョンに人生を捧げるというより
今時点では生き残るためにスタートアップをやってる。
ビジョンをもっているスタートアップの友人などをみるとその視座の高さにリスペクトしかありません。

スタートアップというエコシステムの中では少し異なるスタンスにいる、『バグ』のような存在だと自分は思います。

ただ、この非効率で過渡期にある業界の中で、自分というバグがどんなインパクトを残せるのか、もう少し確かめてみたいと思っています。

METRICAの重心を移す

さまざまな業界で、

  • 「AIをどう事業に組み込むのか」
  • 「プロダクト開発をどう進めるのか」
  • 「生成AIをどう現実の運用に落とし込むのか」

といった問いに向き合う企業が増えているかと思います。

そうした中で、技術だけでもなく、経営だけでもない立場から意思決定に関われること。実際に手を動かして作ることもできて、現場で使われるところまで見にいけること。そこに、自分たちなりの提供価値があると思うようになりました。

だからMETRICAは、医療AIの会社から完全に別物になる、というより、幅野という人間を中心にこれまで積み上げてきた技術・現場理解・開発経験を最大化できるよう、より広く企業のAI活用やプロダクト開発を支援できる形に、事業の重心を移していきます。

CTO / CAIO 的な役割が必要な会社へ

ありがたいことに最近は、周りのスタートアップや事業会社の方々から、ソフトウェア開発やAI活用について相談をいただく機会が増えてきました。

特に、社内にCTOやAIに強い意思決定者がいない企業では、

  • 「何から始めるべきか」
  • 「どこに投資すべきか」
  • 「どこがリスクなのか」

が見えづらいまま、手探りで進めざるを得ないことが多いと感じています。

特に、AIをどう事業に組み込めばいいか見えていない、プロトタイプはあるが本番運用の論点が整理できていない、技術判断を経営とつなげて進めたい。そうした課題がある会社には、力になれると思っています。

技術顧問のような関わり方もできますし、必要に応じて、事業やプロダクトにかなり踏み込んで一緒に考えることもできます。
もし近い悩みを持っている方がいたら、気軽に声をかけてもらえたら嬉しいです。

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